この株は、今からおよそ4年前にイランのナーセリーから“FO-021”という名で輸入された個体です。
“FO-021”と聞けば、多くの方がまず思い浮かべるのは──フェリペ・オテロ氏が管理していたフィールドナンバー。私もかつてそう思っていました。
しかし実のところ、“FO-021”という番号は本来、マミラリア属のサボテンに付けられたものであり、アガベとは全くの別物です。
おそらく、オテロイとチタノタの分類が明確化され、FO-076(オテロイ)が流行し始めたタイミングで、その流れに乗る形でイランのナーセリーが“ノリ”でFO-021と名付けてしまったのではないかと推測しています。
その後、この系統は“FO-021”の名で一時的に流通しましたが、やがてその呼称は“Angry Heart”や“Battle Axe”といった通称へ自然と変化していき、現在では“FO-021”という名で流通する株はほとんど見かけなくなりました。
タグの信憑性が揺らぐ時代において、本質を見極める目こそが真価です。
この個体は、“名前が生まれ変わる前”から存在していた、静かなる始祖株。
一時代を物語る背景を持ちながら、市場ではもはやあまり見かけることのない存在。
“育てる”だけでなく、“語れる”アガベとして──
真に価値を知る方のもとへ届くことを願っています。
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