近代国語辞典の金字塔、大槻文彦編
『言海』です。
のちには小型版や中形版など、小さな判型の体裁が
主流になりますが、出品は判型の大きな大型版です。
今から134年も前の明治24年(1891)発行の第2版です。
初版は4分冊で、この第2版から1冊本となり、1冊本としては実質の初版と言えるものです。
装丁が堅牢なハードカバー仕立ての布張りで、
背表紙と角には革を配した豪華な装丁です。
カバーの布にシミや浮き、変色などありますが、
背表紙の革の状態は非常によく、表題他の
金押しも美しいままです。
書籍を繰り返し長期にわたって使うことを想定したのでしょう、
見返しの喉には布で継ぐ様式を採用しており、
これは繰り返し開かれることで壊れやすいこの部分を、開きやすく壊れにくくする様式です。
現在では手間とコストの点でこの様式を採用する書籍は非常に少ないと思い、令和に入ってこの様式で
製本された書籍は、おそらくあるかないか、というところと思います。
本文は現在では絶滅寸前の、金属活字を用いた活版印刷で、秀英舎の活字を採用し、用紙に押しが効いた美しい印字の書籍です。
この版は現在非常に入手が難しく、当方が探した限り、同じ版は各種古書店サイトで
1点も出品がありませんでした。
余談ですが、裏見返しに現在でもご健在な
東京神田の書店さんのタグが貼ってあり、
さらに、値段が負けられない旨のシールも
貼ってあり、
当時は書籍を値切る風潮が大いにあったことを
伺わせる、こちらも貴重な資料と思います。
お探しでいらした方に、貴重な1冊本、大型の
言海をぜひどうぞ。
注意事項
本体が布張りで、背と角に革を配した装丁です。
裏見返しに古い書店さんのタグが貼ってあります(画像)。
貴重な資料と思い、また無理にはがすと元の紙を
破損する可能性が高く、このままでお譲りいたします。
布にシミや糊の浮き、変色などあります(画像)。
その割に背表紙の革は保存が非常によく、
少しの擦れの他は美品と言っても良い状態です。
本文用紙にヤケがあり、しわのあるページ、
縁に小さな破れがあるページ、地に一部シミがあります(画像)。
全体に状態は良く、134年の経年を考慮すると、
全体に美品の範疇と言えるものと思います。
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